歯周病菌などが原因で歯周病は引き起こされます。他の感染症のように1種類の細菌が悪さをして病気を引きおこすのではなく、歯周病の発症には複数の細菌が関与しています。
お口の中には300~500種類の細菌が住みついています。その中で歯周病を起こすような細菌は10種類以上見つかっています。
歯周病は、嫌気性菌(酸素の無いところを好む)が発生の原因で、症状の進行に強く関与していると言われています。

Pg菌 Porphyromonas gingivalis (P.ジンジバリス)
強い悪臭を放つ歯周病菌です。名前は、歯肉(gingiva)に由来します。歯肉を構成するコラーゲン組織を分解したり、白血球がもつ細菌を食べる作用(貪食作用)や殺菌作用を弱める酵素をもちます。さらに免疫担当細胞のコミュニケーションのために働くサイトカインを分解することによる免疫撹乱作用があります。また、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす毒素(内毒素)をもちます。

Td菌  Treponema denticola    (T.デェンティコラ)
歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなると爆発的に増殖し、歯が全くなくなるまで住み着く歯周病菌です。歯周病が進行すると歯肉の中に入り込み、歯周病の症状を急激に悪化させます。タンパク分解酵素により組織を障害すると考えられています。

Tf菌  Tannerella forsythensis  (T.フォーサイセンシス)
名前はアメリカ・フォーサイス歯学研究所(Forsyth Dental Center)のターナー(Tanner)という研究者が報告したことに由来します。歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)に生息します。

Aa菌  Aggregatibacter actinomycetemcomitans  (A.アクチノマイセテムコミタンス)
この菌は、数的には非常に少ないタイプです。進行性の歯周病によくみられる歯周病菌です。歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす毒素(内毒素)を持っています。

Pi菌  Prevotella intermedia    (P.インターメディア
一般的で誰もがもっている菌です。女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンによって発育する歯周病菌です。女性ホルモンの分泌が活発な思春期や妊娠時には爆発的に増殖することがあります。歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす毒素(内毒素)をもちます。

P.g.菌、T.f.菌、Td.菌は歯周病が進行している人々のほぼ60~70%から発見される菌です。これらはよく同時に見つかることが多いです。