歯周病の治療では、歯石を取り除いた(スケーリング)後、歯根面を滑沢(ルートプレーニング)にします。
ルートプレーニングの目的は、ポケット内に露出した根面の汚染セメント質を除去し、歯周組織に対し生物学的に為害性のない根面にすることです。

セメント質の変化
正常なセメント質は、歯肉や歯根膜から栄養の供給を受けています。しかし、ひとたびポケットが形成されれば、栄養が供給されなくなり壊死します。
セメント質の表面にはプラークが付着し、細菌はセメント質表層の凹部、裂溝、シャーピー線維の残存部などへ侵入していきます。
セメント質の中へ侵入した細菌は、石灰化して歯石となり、セメント質との境界は不明瞭になります。
すなわち、歯石はセメント質の中に入り込んでいます。
スケーリング&ルートプレーニングの目的
このため単にスケーリングで根表面の歯石を取り除いても、歯石の一部はセメント質内に残留する危険性が高くなります。
また、露出セメント質中にグラム陰性菌由来の内毒素(エンドトキシン)が侵入していることが明らかになっています。特に、表層30μmで高濃度に存在することが報告されています。
セメント質中に残留した細菌や内毒素は、歯肉の炎症を誘発したり、歯肉が歯根表面に付着するのを阻害すると考えられています。
これらの汚染されたセメント質を取り除き、上皮や結合組織が付着しやすい根面、すなわち生物学的に為害性のない根面にすることが歯周治療上大変重要になります。