歯周病の初発因子は、歯周病菌による歯肉の炎症です。
通常、歯周病菌はバイオフィルムを形成しているプラーク(歯垢)の中に存在し、ポケットの中まで侵入して付着すると考えられています。
細菌が歯肉に侵入する
電顕による研究が行われる以前は、細菌は歯肉組織の中へ直接侵入することはなく、細菌の生産物だけが侵入して歯周組織に炎症を生じさせ、増悪すると考えられていました。
しかし、電顕を用いた研究により、急性壊死性潰瘍性歯肉炎をはじめ進行した中等度から重度の歯周炎では、歯肉の上皮さらには結合組織中に細菌が侵入することが明らかになったのです。
なお、内縁上皮(ポケットの内側)だけでなく、外縁上皮からも侵入します。
特に、歯肉上皮の角化が悪いと、侵入する量が多くなることが報告されています。
侵入した細菌が歯周組織を著しく破壊
細菌が生体の防御機構をくぐり抜けて歯肉の中で増殖すれば、酵素、毒素、代謝産生物を遊離し、歯周組織を著しく破壊すると考えられます。