歯周病が歯髄(歯の神経)に影響を与えて歯髄疾患を起こしたり、
逆に、歯髄疾患が辺縁歯周組織に影響を与えて辺縁性歯周炎と
類似した病変を引き起こすことがあります。
これらの病変の治療に当たっては、両者が相互に影響し合うことを
考慮して検査・診断し、治療方針を決めます。
1. 歯周病が歯髄疾患に及ぼす影響
歯周病が深部歯周組織に及ぶと、口腔内やポケット内に露出した歯根面の象牙細管、
副根管や側枝、根尖孔を通して歯髄に影響を与える可能性があります。
知覚過敏症や上行性歯髄炎を引き起こすことがあります。
2. 歯髄疾患が歯周組織へ及ぼす影響
歯髄疾患(感染根管を含む)は根尖孔、側枝、副根管、髄管を通して
歯周組織に影響を与えます。
歯髄内の炎症物質が、歯周組織に達し、根尖性歯周炎を起こします。
通常、根尖部総統府金の歯肉や粘膜に瘻孔を作って炎症産物が排膿されます。
しかし症例によっては、排膿路が根面に沿って歯根膜を通って、
歯肉溝や歯周ポケットに連絡することがあります。
この歯髄疾患由来の排膿路は、深い歯周ポケットと類似した症状を示し、
骨吸収を伴うこともあり、辺縁性歯周炎と類似しています。