歯周再生療法は、薬をつければそこに歯周組織が再生するとは限りません。
成功するには、適応症、様々な条件があります。
適応症は、
垂直性骨欠損を伴う歯周ポケット、1~2度の根分岐部病変です。
歯の周りに歯肉のみしか残っていない場合は、歯肉に切開を入れた時点で歯が脱落してしまうので適応外です。
歯根の1/3~1/4程度の骨が最低でも残っていないと手術できません。
様々な条件とは、
1. 手術前には、歯肉の炎症が改善されている事
歯肉に発赤、腫脹がなく、歯周基本治療が徹底的に行われている必要があります。
もし、炎症が残っていると、歯周病原因菌も残っている可能性があります。
代表的な菌のジンジバリスは、手術の傷の治癒を阻害して閉鎖を障害すると言われています。
プラークコントロールが出来ていることが大切です。
2. 根面処置の徹底
歯根面に歯石が残ってない、
根表面に侵入している歯周病菌の内毒素などの有害物質が取り除かれている事です。
歯根面のスケーリング・ルートプレーニングが徹底され、酸により根面処理されて
表面がきれいな状態になっている事が必要です。
3. 肉芽組織の除去
垂直性骨欠損部などに残る不良肉芽と呼ばれる病的組織は、
再生を阻害するので、徹底的に取り除く必要があります。
そして、骨のきれいな面が露出されれば、歯根膜由来の細胞が増殖しやすくなり、
再生が可能です。
4. 再生の足場があること
歯根と骨との距離が離れすぎていると接着が望めなくなります。
1壁性、2壁性などの骨欠損では、人工骨の補填などにより
細胞が伸びてくる足場を作る必要があります。
5. 上皮の侵入を防ぐ
骨や歯根膜が再生する場所に上皮が侵入してくるのを防ぎます。
通常、上皮の方が早く伸びてくるので、メンブレン、薬剤などを利用します。
6. 緊密な縫合
歯周組織の治癒が適切に行われるには、汚染、外的刺激を防ぐ必要があります。
緊密な縫合により組織の治癒を助けます。