-
2012年08月28日 火曜日
ストレスと歯周病
ストレスは、歯周病を悪化させるリスクファクターとして働きます。
ストレスは、種々の症状や疾患の原因になることが知られていますが、歯科では、急性壊死性潰瘍性歯肉炎ANUGとの関係が注目を浴びています。また、心理・社会的ストレスと歯周病の関係について調査が行われ、両者間に相関関係があると報告されています。
■ 歯周病とストレスとの関係
1. ストレスは歯周病治療の効果を低下させ、メインテナンスを困難にするリスクファクターになります。
2. ストレスはブラキシズムを誘発して、歯周組織に咬合性外傷を引き起こします。
3. 脳下垂体から副腎皮質ホルモンが分泌され、免疫力が低下します。
4. 自律神経に働き、交感神経の亢進による血液循環の悪化や唾液量の減少が生じます。
5. 一方、歯周病は、その症状(歯肉の腫れ、疼痛、出血、口腔内の不快感、歯の動揺、咀嚼障害など)により、ストレスの原因になります。 -
2012年08月23日 木曜日
歯周病で奥歯の根の間の骨が溶けている、と言われた
根部分岐部病変とは?
下の奥歯の歯根は2つ、上の奥歯の歯根は3つに分かれている場合が多いです。根っこの間の骨が溶けている場合は、歯周病がだいぶ進んでいます。歯周病による多根歯の分岐部に起こる歯周組織の病変のことを根分岐部病変と言います。
■ LindheとNymanの分類 (1975年)
1度 (初期) : 根分岐部に歯周プローブ(探針)は入るが、歯の幅の1/3以内である。
2度 (部分期) : 根分岐部に歯周プローブが1/3以上入るが、貫通はしない。
3度 (全体期) : 完全に 根分岐部の付着が破壊され、頬舌的あるいは近遠心的に歯周プローブが貫通する。
■ 症状
根の間の歯肉が腫れる。膿が出る。
噛むとき歯が浮いた感じになり、痛くてしっかり噛めない。
などの症状が、繰り返して起こってきます。薬などを使っても暫くするとまた症状が出てきます。
■ 治療方法
根分岐部の骨吸収程度により治療法が異なります。
初期なら、 スケーリング・ルートプレーニングや咬合調整を行います。さらに、GTR法、エムドゲイン法、骨移植術などを使って歯周外科を行い歯周組織の再生を期待します。症例によっては、ルートセパレーション(歯根を分割する)、トンネリング法(貫通部分を歯間ブラシで清掃しやすいようにくぐり抜ける形態にする)を行います。
しかし、3度の貫通してしまう時期になると、抜歯になってしまうケースが多くなります。片方の根を保存できるケースもあります。
■ 予後
上手く歯周織が再生してポケットがなくなれば、予後は良好です。
しかし、骨吸収程度が強い、分岐部の細い間に病巣が残る、などの場合は、炎症を繰り返して症状が進んでいきます。 -
2012年08月13日 月曜日
歯肉が腫れて痛い。これって歯周病?
歯肉が腫れている場合、炎症(細菌感染によるもの)、腫瘍(細胞が勝手に増殖したもの)、嚢胞(袋状の貯留物)が疑われます。
歯周病だけ、とは限りません。歯科医院で見てもらいましょう。
A. 炎症
1. 歯周病
細菌感染により、歯肉が腫れて、痛みも出ます。歯の周囲あるいは、歯と歯の間が腫れている場合は、歯周病が疑われます。膿がたまっている場合は、切開して膿を出してやると楽になる場合もあります。
2. 根尖病巣
根元よりが腫れている場合、根尖病巣の可能性もあります。治療は根管治療をします。
3. 親知らず
一番奥歯の歯ぐきなら、親知らずのために歯肉が腫れることがあります。のどに痛みが出て、つばを飲み込むと痛くなることもあります。ひどくなると、顔が腫れ、口を開くことも十分できなくなります。
B. 腫瘍
細胞を取って確定診断するとはっきりします。基本的には、手術で摘出します。
C. 嚢胞
袋ごと取れれば問題ないです。できる部位に特徴があります。 -
2012年08月06日 月曜日
若くして重度の歯周病
■ 質問
まだ、30歳代なのに重度の歯周病になっています。
前歯が飛び出して、グラグラになり自然に抜けてしまいました。
予防方法、対策はないのでしょうか?
■ 答え
若くても、重度の歯周病にかかることがあります。多くがプラーク中の特定の歯周病菌が関与して発症する場合です。歯を支えている骨が溶けるまで進行してしまい、あわててしまいます。
■ 代表的な歯周病菌
1. Porphyromonas gingivalis (P.ジンジバリス)
2. Treponema denticola (T.デェンティコラ)
3. Tannerella forsythensis (T.フォーサイセンシス)
4. Aggregatibacter actinomycetemcomitans (A.アクチノマイセテムコミタンス)
5. Prevotella intermedia (P.インターメディア)
■ 予防対策
1. プラークコントロール
初期の原因は、バイオフィルム(プラーク)です。まずは、プラークコントロールをして毎日、ハミガキ、歯間ブラシを丁寧に行います。歯科医院で歯石取り(スケーリング)をしてもらいます。歯周内科(自費です)により、薬を用いて集中スケーリングをして歯周病菌を減らすことも可能です。
2. 歯周再生療法
しかし、すでに歯ぐき、歯を支えている骨まで侵されているので、その治療が必要になります。スケーリング・ルートプレーニング、乱れた噛み合わせの調整、歯周ポケットをなくす治療が必要です。重度の歯周病の場合は、外科的にポケットをなくすための歯周外科手術も選択肢です。フラップオペと呼ばれる手術です。エムドゲインという薬(自費になります)を使った歯周再生療法もあります。
3. 抜けた部分の修復
インプラント、ブリッジ、入れ歯の方法があります。前歯ですので、審美的に良好な状態にしたいですね。ブリッジの場合は、抜けて下がってしまった歯茎を補うために、そこに歯肉を移植(結合組織移植術CTG)してからかぶせるとよいでしょう。
4. その他の治療
ほかのぐらついた歯は、固定、連結冠などをします。
乱れた噛み合わせは、咬合調整と矯正治療の手技で治します。
perio Blog
カテゴリ一覧
最近のブログ記事
月別アーカイブ
-
2024年 (26)
-
2023年 (52)
-
2022年 (52)
-
2021年 (52)
-
2020年 (52)
-
2019年 (52)
-
2018年 (53)
-
2017年 (51)
-
2016年 (52)
-
2015年 (50)
-
2014年 (52)
-
2013年 (52)
-
2012年 (57)
-
2011年 (49)