歯周病や虫歯の予防、口臭の予防には歯磨きが欠かせません。ハブラシの選択から磨き方の基本、普段気になっているお役立ち情報をお話しします。
A. どんなハブラシがよい?
ハブラシはその方のお口の中の状態、歯並び、磨く方法などにより決まります。詳しくは、歯科衛生士にご相談ください。と言ってまえば、簡単ですが、実際にどんな基準で選ぶかをお話します。
1) ブラシの硬さ・・・「ふつう」を選びます。一般に、固いほうが磨く効率が良い。しかし、力を入れすぎたり、大きく動かしたり、ハミガキ粉をつけすぎると歯や歯肉を痛める。歯肉に炎症があるときには、やわらかめのブラシを使い、治ってきたら普通のブラシに変える。
2) ブラシの大きさ・・・「小さめ」のほうが動かしやすい。成人に小児用のブラシは使いません。約21~24個のブラシの毛束があるものが大人用です。コンパクトでも密度が濃くしっかり揃っているものが良いです。
3) ブラシの形態・・・「ストレートでシンプル」なものが取り扱いやすい。山形だと一見当たりやすく思えますが、歯の大きさや歯の溝は、整然と揃ったブラシの山形には合っていません。カープになっていると当てやすい部分と当てにくい部分ができます。歯面への当て方、当てる方法をマスターすれば、ストレートでシンプルなものがコントロールしやすくなります。
B. 歯ブラシの持ち方は?
「ペングリップ」で持つ。鉛筆でものを書くときの持ち方で、3本指で持ち、「余計な力を入れず小刻みに動かします。」じゃんけんのグーの持ち方で握ってしまうと力が入りすぎて毛先が開き、かえって目的の部位に当たらず、かつ、周囲の歯や歯肉を痛めます。
この一般的なスクラビング法というのは、小刻みな動きの毛先磨きの方法なのです。
一方、ローリング法では、逆にグーで握ってブラシのクッションを利用して磨きます。
C. 歯磨き粉の量はどのくらいつけるもの?
「少なめ」にします。ブラシの長さの1/3程度でよいでしょう。歯磨き粉の中には研磨材が含まれるため、多すぎると歯を摩耗して傷つけてしまいます。また、つけすぎるとアワアワになり、的確にブラシを歯に充てるのが困難になり、爽快感だけが残り、磨けてないのに磨けた気分になってしまいます。液体の歯磨き粉やフッ素入りのものは用法に従ってください。
D. 歯の磨き方は?
磨く順番を決めて(例えば、左下奥歯の裏→下前歯の裏→右下奥歯の裏→左下奥歯の表・・・)1本1本順序良く丁寧に磨くことで磨き残しを防ぎます。
1) 表の表面部分は垂直にブラシを当てシャカシャカと小刻みに毛先が広がらないように動かして磨きます。その時、ハブラシの毛が歯の間にもしっかり入り込むように当てて、大きくは動かしません。
2) 奥歯の側は、歯と歯茎の境目に45度の角度で当てます。
3) 前歯の裏は、ブラシを前方に向かって掻き出すように動かします。
E. 歯磨きの時間は?
上記のような磨き方をすれば、1分で磨くのは難しいでしょう。3分以上を目安として磨きます。夜寝る前には時間をかけて磨きます。なぜかというと、夜は口を動かさず、唾液が少なくなり、お口の中が乾燥するため、虫歯菌や歯周病菌が繁殖するためです。
どうしても磨けないときは、最後にお口の中に停滞しないカリカリしたものを食べたり、水分などの食渣を洗い流してくれるものを取ります。 
F. 一日何回磨く?
「毎食後に磨く」のが基本です。 スポーツ飲料やジュースを飲んだ後も、PHが低かったり砂糖を多く含むため、歯磨きをします。
G. 磨くタイミングは?
「食後すぐ」に磨きます。食物残渣が特に歯の間に詰まっていると歯肉を圧迫して歯周病を悪化させる原因にもなります。歯周病菌の繁殖をさせないように食後すぐに磨きましょう。歯の再石化の目的で30分以上おいてから磨くことを推奨する先生もいます。しかし、いつも磨いていればプラークのPHが下がることは気にしなくてもよいでしょう。食事をしているときは、唾液の緩衝能(中性に戻す力)があるので食事を終ると同時に磨くのが、もっとも効果があると思われます。また、習慣づけにもなります。