2012年04月30日 月曜日
タバコを吸っている人は歯周病になりやすいんですか?
「イエス」です。タバコは、歯周病の重大な危険因子(リスクファクター)のひとつです。
歯周病は、歯と歯肉の境目に付いた歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉が炎症を起こし、歯を支えている骨が破壊されていく病気です。もちろん主原因は歯垢ですが、タバコ中のニコチンによって歯肉への血液の流れを悪くし、抵抗力のない脆弱な歯周組織へと変化してしまいます。そのため、たばこを吸っている人は、歯周病になりやすいのです。
一般にタバコを吸う人は、吸わない人に比べ3倍も歯周病にかかりやすく、また2倍も多く歯を失っているという報告があります。また喫煙本数と比例して歯周病が重症化するという事も分かっています。
タバコが歯周病を悪化させてしまう原因
1. ニコチンによる血管収縮
ニコチンは一種の神経毒で、歯周組織の血流を悪くします。 歯肉に酸素や栄養を供給するのに大切な血管が、タバコのニコチンにより収縮してしまいます。
2. 免疫機能の低下
ニコチンは体を守る免疫の機能も狂わせます。 歯周病菌と戦う白血球の機能が低下してしまい、病気に対する抵抗力が落ちたりアレルギーが出やすくなります。
3. 線維芽細胞の抑制
歯肉を修復し、傷を治してくれる線維芽細胞の働きが抑制される。
4. 酸素欠乏
タバコの煙の一酸化炭素はヘモグロビンと結合するので、歯周組織を酸欠状態にします。歯と歯肉の境目にある溝の中の酸素が不足し、酸素が大嫌いな歯周病菌にとって繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
喫煙者の歯周病の特徴
タバコを吸う人は、「炎症症状が少ない。」「発見が遅れる。」という特徴が現れます。炎症症状が現れにくいために、自分で歯周病の進行に気づきにくいのです。自覚症状が少なくても歯周病はどんどん進行し、歯周組織(歯ぐきと歯を支える骨の部分)の破壊が進んでしまうのです。
1. 歯ぐきの腫れが少ない。
2. ブラッシング時の出血が少ない。
3. 歯周病になりやすく、歯周病が治りづらい。
タバコを吸っていると、歯周病になりやすいだけではなく、歯周病に罹ってしまった時の治療効果もでにくくなります。例え完治しても再発しやすいのです。また、ご自身だけでなくご家族や周囲の方の歯周組織まで弱ってしまいます。
喫煙者のその他の特徴
1. ヤニで歯が汚れる。凸凹しているので歯周病の原因のプラークが歯に付着しやすくなる。
2. 口臭の原因になる。
3. メラニンが沈着して歯肉が黒くなる。