根部分岐部病変とは?
下の奥歯の歯根は2つ、上の奥歯の歯根は3つに分かれている場合が多いです。根っこの間の骨が溶けている場合は、歯周病がだいぶ進んでいます。歯周病による多根歯の分岐部に起こる歯周組織の病変のことを根分岐部病変と言います。
■ LindheとNymanの分類 (1975年)
1度 (初期) 根分岐部に歯周プローブ(探針)は入るが、歯の幅の1/3以内である。
2度 (部分期) : 根分岐部に歯周プローブが1/3以上入るが、貫通はしない。
3度 (全体期) : 完全に 根分岐部の付着が破壊され、頬舌的あるいは近遠心的に歯周プローブが貫通する。
■ 症状
根の間の歯肉が腫れる。膿が出る。
噛むとき歯が浮いた感じになり、痛くてしっかり噛めない。
などの症状が、繰り返して起こってきます。薬などを使っても暫くするとまた症状が出てきます。
■ 治療方法
根分岐部の骨吸収程度により治療法が異なります。
初期なら、 スケーリング・ルートプレーニングや咬合調整を行います。さらに、GTR法、エムドゲイン法、骨移植術などを使って歯周外科を行い歯周組織の再生を期待します。症例によっては、ルートセパレーション(歯根を分割する)、トンネリング法(貫通部分を歯間ブラシで清掃しやすいようにくぐり抜ける形態にする)を行います。
 
しかし、3度の貫通してしまう時期になると、抜歯になってしまうケースが多くなります。片方の根を保存できるケースもあります。
■ 予後
上手く歯周織が再生してポケットがなくなれば、予後は良好です。
しかし、骨吸収程度が強い、分岐部の細い間に病巣が残る、などの場合は、炎症を繰り返して症状が進んでいきます。