垂直歯根破折が起こると、歯周組織にまで影響が及び歯牙が保存できなくなる場合も多く見受けられます。
原因とリスクファクター
1. 強い外力
歯に強い外傷性咬合が加わり応力が一部に集中して破折をきたすことがあります。
さらに1回の強い衝撃ではなく強い咬合力が日常的に何度も加わることによって小さな亀裂が入り、その亀裂が次第に大きくなって完全な破折に至ることが多いと考えられています。ブラキシズムや強い咀嚼力がリスクファクターとなり、特に残存歯が少なく強い力が働くと、ブリッジの支台などでは危険度が高まります。
2. 歯質の弾性の減少
垂直破折は中高年に多く、生活歯に比べ失活歯に多くみられます。増齢や歯髄の失活により象牙質の弾性が減少します。さらに失活歯では、抜髄や根管拡大により残存歯質量が減少することもリスクファクターになります。
3. 内側性の歯冠修復物やポスト支台など修復物の構造と接着不良
インレーやポスト支台は、咬合力加わると「くさび」として噛む力が加わる可能性があります。特に接着力が不良だとその傾向が強くなります。