歯石が歯周病の最も重要な病因として、1960年頃には考えられていました。
しかしその後の研究の結果、最も重要な因子はプラーク(歯垢)であり、
歯石の病因としての役割は、表面が粗造であり、プラークを常に付着増殖させ、
取り除きにくい状態を作り出していることにあることが明らかとなりました。
物理的刺激説の否定
かつての「物理的刺激説」(歯石の粗造面が機械的に歯肉を傷つけて炎症を起こすという説)は、
否定されした。
1. Listgartenらは1973年に、クロールヘキシジンなどの消毒液で歯石上のプラークを除去すると
上皮付着が生じることを報告しました。
しかし通常では、歯石は常にプラークで覆われており、ブラッシングなどの口腔清掃を行っても
プラークを取り除くことが困難なため、歯肉に炎症を誘発してしまいます。
2. また、歯石自体の中にプラーク由来の有害物質が含まれており、それが歯肉に接した場合に
歯肉に炎症を起こします。(初発因子的役割)
3. 歯石は、上皮や結合組織の根面への付着を阻害します。
現在の考え方
歯石は重要なプラーク増加因子の一つです。