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2015年08月31日 月曜日
歯周病に悪影響を与える口腔内環境因子
プラークなどに含まれる細菌などによる初発因子によって生じた歯周組織病変を修飾し、
増悪させる局所的な口腔内の因子があります。すなわち、
口腔内の先天的な解剖学的形態異常、および後天的に生じた形態異常や
口腔内環境の変化により、口腔の清掃を困難にし、プラークを増加させる因子です。
それには次のようなものがあります。
1. 歯石
プラークが石灰化したもので、内部に有害な物質(エンドトキシンなど)を含むとともに、
表面が粗造なためプラークが付着増殖しやすく、さらに取り除きにくくなります。
歯石は最も重要な局所修復因子の一つです。
2. 歯列不正
叢生や歯軸が傾斜した歯は、自浄作用、清掃率ともに低下します。
3. 口呼吸
口で呼吸すると口腔内が乾燥するため、プラークが歯面に強くこびりついた状態と
なります。唾液による自浄作用の低下や乾燥による歯肉の抵抗力の低下なども
加わります。前歯の唇面と、上顎の口蓋側の歯肉が最も影響を受けやすくなります。
4. 歯冠と歯根の形態不良
歯冠の歯頚部豊隆が異常に大きかったり、歯冠や歯根の表面に裂孔裂孔が走っていると
その部の清掃が困難になります。
5. 歯肉の形態不良
歯肉が腫脹していると歯頚部の自浄作用が低下するとともに、
ブラッシングによる清掃が不良になりやすいです。
逆に歯肉が退縮した場合にも清掃が難しくなります。
6. 付着歯肉の狭小、口腔前庭の狭小
付着歯肉あるいは角化歯肉の幅が狭い場合や口腔前庭が浅い場合には、
ブラッシング時に口腔粘膜を傷つけやすくなります。
7. 小帯の異状 -
2015年08月24日 月曜日
歯周治療における矯正治療の目的
歯周病治療において、歯並びが悪く清掃が難しい場合には、状態の改善が難しくなります。
そこで矯正治療が考えられますが、そのほかにも目的があります。
目的
1. 歯周組織の炎症の改善(口腔清掃性の改善、炎症性因子の除去)
1). 歯列不正により清掃性が困難になっている隣接面や歯頚部の清掃を容易にする。
2). 口呼吸を改善し、プラークの増加を防ぐ。
3). 補綴物の清掃性を向上させる。
2. 咬合性外傷の改善(外傷性咬合の除去)
1). 側方力の減少(歯軸の改善)
2). 舌・口唇の悪習癖の改善
3). 強い早期接触の改善
4). 不働歯を咬合に参加させる
5). 食片圧入の防止、接触点の回復・強化
6). 永久固定を容易にする。
3. 審美性の改善
1). 前歯の離開および前突の改善
2). 前歯の高度叢生、歯軸傾斜異常の改善
3). 支台歯の移動によるポンティックの形態改善
4. 歯周組織の再生 -
2015年08月17日 月曜日
ブラッシングの練習時に歯磨剤が必要か
歯磨剤は、ブラッシングの練習時には使用しない方がむしろ良いでしょう。
その理由は、
1. 歯磨剤に含まれている香料により、プラークが十分に取れていなくても
爽やかな感じが得られ清掃できたと誤解しやすいのです。
2. 歯磨剤自体にはプラークを取り除く効果は少なく、常時使用すると
含有されている研摩材のために歯質が摩耗し、楔状欠損などが生じる危険性が高まります。
3. 歯磨剤の中に発泡剤が含まれており、唾液と混ざって口中に泡立ち、
すぐにうがいをしたくなり、清掃不十分なまま終了しやすいです。
従って、長時間丁寧にブラッシングするには、歯磨剤を使用しない方が良いのです。
4. ブラッシングが上達したら、ブラッシング終了後に歯磨剤を少量付けて
前歯の唇面を中心にブラッシングします。これは歯磨剤中の研磨材で
歯の表面に沈着した色素(お茶やコーヒーなどの食物や嗜好品の色素の沈着)を取り除くためです。 -
2015年08月10日 月曜日
エナメルマトリックス タンパク質(EMD)を用いた手術
エナメルマトリックス タンパク質(EMD)は、歯根形成期にヘルトヴィッヒ上皮鞘の
内エナメル上皮細胞が分泌するタンパク質で、象牙質表面に
セメント質の形成を促します。
歴史
Hammerstromらは、これを歯周外科時の根面に用いて
歯周組織とくにセメント質を誘導しようと考えて研究を行った結果、
セメント質だけではなく歯根膜、歯槽骨も再生する効果があることを
明らかにしました。
エムドゲイン
その後製品化され、商品名「エムドゲイン」となりました。
エムドゲインは、ブタ歯胚から抽出したエナメルマトリックス タンパク質です。
主なタンパク成分は、アメロジェニンで、他の成長因子も含まれており、
根面に付着して歯根膜細胞の増殖、アルカリフォスファターゼ活性および
硬組織形成活性を高める作用があります。 -
2015年07月27日 月曜日
萌出性歯肉炎とは
歯が萌出する時に見られる歯肉炎です。
原因
歯の萌出が直接の原因ではありませんが、
萌出途上では対合歯との咬合接触がないため、咀嚼による自浄作用が少なく、
プラークが堆積しやすいのです。
さらに萌出中はエナメル上皮が歯肉の内縁上皮となってエナメル質と接触しており、
上皮付着の部位が広く、これが歯面から剥離して深いポケットの状態になっている
場合もあり、炎症が生じやすいのです。
これと同様のことが、萌出中の第三大臼歯(親知らず)にも良く見られます。
治療法
病理学的には、単純性歯肉炎に属し、やわらかめの歯ブラシを用いた
丁寧なブラッシングで治ります。
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