歯肉弁根尖側移動術は、ポケットをなくす歯周外科の一種です。
歯周ポケットをなくすのに歯肉切除術をすると、付着歯肉の幅が減少したり、すべて失われたりすることもあります。
これを避けるために歯肉弁を剥離して、根尖側に移動を行い、縫合します。
こうすれば付着歯肉の幅を保ったままポケットを除去することが出来ます。
適応症
1. ポケット内露出根面への付着を狙わず、付着歯肉を減少させずにポケット除去したい場合。
通常歯肉を根尖側へ移動すると歯根が露出するので、ポケットは比較的浅く(4~6mm程度)、
骨吸収は比較的少なく水平性吸収の場合が適応になります。
2. 齲蝕が歯肉縁下まで進行していて、歯肉縁上まで露出させたい場合。
かつ、付着歯肉をできるだけ失いたくない場合です。
骨頂辺縁に齲蝕が近接している際は、骨切除術を併用します。
術式
1. 左右2つの縦切開と、歯肉辺縁への逆斜切開により、歯肉弁を剥離します。
2. 剥離は歯肉粘膜境を超えて十分に行います。
3. 歯肉弁を根尖側に移動します。
4. 歯肉弁辺縁が骨頂部に位置するように、まず縦切開部を縫合します。
5. 続いて、歯間部を緩く縫合します。
新しくできた前庭部を骨膜縫合すると歯肉弁が安定します。