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    2011年08月20日 土曜日

    歯周病と全身疾患との関係

    歯周病は糖尿病、心疾患をはじめ様々な全身疾患との関連性が報告されています。 歯周病を引き起こす細菌が、肺炎や細菌性心内膜炎を 起こし、さらに血栓を作り脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。妊産婦では、早産、低出生体重児の危険があります。近年、糖尿病との関係が非常に深い事もわかってきました。

    1. 糖尿病
    歯周病も糖尿病も、どちらも生活習慣病であり血管の障害や免疫の低下をもたらします。糖尿病が歯周病を悪化させることは以前から報告されてきましたが、現在では、歯周病が糖尿病を悪化させるという、相互の影響が指摘されています。また、歯周病の治療を行い、プラークコントロールがしっかりしてくると、血糖値が下がることもわかってきました。

    2. 細菌性心内膜炎
    お口の中の歯周病原菌は組織に対して付着能力も高いものもあるため、心臓の弁やその周囲に感染して心膜炎を起こす危険が高くなることが報告されています。

    3. 誤嚥性肺炎
     高齢者、特に寝たきりの方など体力が減弱している人は、嚥下機能も弱っているため誤嚥を起こし、歯周病原菌などが肺に進入して肺炎を起こす危険が高くなります。 この誤嚥性肺炎の病巣から歯周病原菌が検出されています。

    4. 動脈硬化
    歯周病の原因となる細菌の毒素が、血流に乗って血管に作用し動脈硬化を引き起こします。

    5. 早産、低体重児
    歯周病に罹患している部位から、毒素や炎症性物質が血液中に入り、胎盤を刺激すると胎児の成長に影響を与えたり、子宮の収縮を促すなどして低体重児出産や早産のリスクが高まることが明らかになっています。母親が進行した歯周病にかかっている場合、低体重児を出産する率が7倍以上になるとも言われています。

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    2011年08月19日 金曜日

    歯周病菌

    歯周病菌などが原因で歯周病は引き起こされます。他の感染症のように1種類の細菌が悪さをして病気を引きおこすのではなく、歯周病の発症には複数の細菌が関与しています。
    お口の中には300~500種類の細菌が住みついています。その中で歯周病を起こすような細菌は10種類以上見つかっています。
    歯周病は、嫌気性菌(酸素の無いところを好む)が発生の原因で、症状の進行に強く関与していると言われています。

    Pg菌 Porphyromonas gingivalis (P.ジンジバリス)
    強い悪臭を放つ歯周病菌です。名前は、歯肉(gingiva)に由来します。歯肉を構成するコラーゲン組織を分解したり、白血球がもつ細菌を食べる作用(貪食作用)や殺菌作用を弱める酵素をもちます。さらに免疫担当細胞のコミュニケーションのために働くサイトカインを分解することによる免疫撹乱作用があります。また、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす毒素(内毒素)をもちます。

    Td菌  Treponema denticola    (T.デェンティコラ)
    歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなると爆発的に増殖し、歯が全くなくなるまで住み着く歯周病菌です。歯周病が進行すると歯肉の中に入り込み、歯周病の症状を急激に悪化させます。タンパク分解酵素により組織を障害すると考えられています。

    Tf菌  Tannerella forsythensis  (T.フォーサイセンシス)
    名前はアメリカ・フォーサイス歯学研究所(Forsyth Dental Center)のターナー(Tanner)という研究者が報告したことに由来します。歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)に生息します。

    Aa菌  Aggregatibacter actinomycetemcomitans  (A.アクチノマイセテムコミタンス)
    この菌は、数的には非常に少ないタイプです。進行性の歯周病によくみられる歯周病菌です。歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす毒素(内毒素)を持っています。

    Pi菌  Prevotella intermedia    (P.インターメディア
    一般的で誰もがもっている菌です。女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンによって発育する歯周病菌です。女性ホルモンの分泌が活発な思春期や妊娠時には爆発的に増殖することがあります。歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす毒素(内毒素)をもちます。

    P.g.菌、T.f.菌、Td.菌は歯周病が進行している人々のほぼ60~70%から発見される菌です。これらはよく同時に見つかることが多いです。

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    2011年08月18日 木曜日

    スケーリング

    スケーリングとは、歯についた歯石を除去すること です。
    歯周病の原因は、プラーク(歯垢)です。歯石自体は直接、歯周病の原因にはなりませんが、歯石は凸凹しているのでそこにプラークが付着しやすいのです。早めに除去しなければ、歯周病菌が増殖してしまい、歯周病の症状が進行してしまいます。
    スケーリングを行い、歯磨きで取り除けなかったプラークやブラシで落とせない歯石を取り、ルートプレーニングという操作で根面を滑沢にして再びプラークや歯石が付かないようにします。
    一般に、歯肉の上に見える歯肉縁上歯石は比較的楽に落とせますが、歯肉の中に隠れた歯肉縁下歯石は除去するのには熟練を要します。固くてなかなか落とせない歯肉縁下歯石は、深いポケットになると除去がますます困難になります。早めにスケーリングを行い、歯周病予防をすることが大切です。

    歯石を取るための道具は、スケーラーと呼ばれ、ハンド(手用)スケーラー、超音波スケーラー、エアースケーラーなどがあります。
    1)  ハンドスケーラーは、ユニバーサルキュレット、仕上げ用のグレーシーキュレットが良く使われます。

    2)  超音波スケーラーは、先端のチップの形状により、縁上用、縁下用、根分岐部用、メインテナンス用などの種類があります。

    3)  エアースケーラーは、超音波に比べ力がソフトです。各種ブラシを取り付け歯間部のプラーク除去にも使えます。

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    2011年08月17日 水曜日

    歯周病とタバコ

    タバコは、歯周病のリスクファクター(危険因子)です。
    タバコを吸う人は、吸わない人に比べ3倍も歯周病にかかりやすく、また2倍も多く歯を失っているという報告があります。
    たばこに含まれる「ニコチン」は血液の流れを悪くし、体の抵抗力が低下して、歯周病にもかかり易くなります。

    タバコを吸うと、歯周病が悪化する原因
    1.  タバコのタール成分が歯に付着して、歯周病の原因となる歯垢、歯石を付きやすくする。
    2.  タバコに含まれるニコチンが歯肉の栄養を補給する血管を収縮させて、血流障害を起こす。
    3.  喫煙者は白血球数が多く、タバコの成分が白血球を刺激して歯周病菌と戦う白血球の機能が低下してしまい、局所の炎症を強くする。
    4. 歯と歯肉の境目にある溝の中の酸素が不足し、酸素が大嫌いな歯周病菌にとって繁殖しやすい環境を作ってしまう。
    5.  喫煙によりビタミンCが消費されて、歯肉を修復する線維芽細胞のコラーゲン合成がうまく行かなくなる。
    以上の事から、タバコを吸う人は歯周病になりやすく、歯周病が治りづらく、たとえ完治しても再発しやすいのです。

    タバコは、歯や歯肉以外にも悪影響を及ぼす。
    1.  ヤニで歯が汚れるだけでなく、メラニンが沈着して歯肉が黒くなり、線維性のゴツゴツした歯肉になります。
    2. 舌の表面の細かい突起部分(糸状突起)に舌苔(歯垢と同じ細菌のかたまり)にまみれてヤニが沈着し、ひどい口臭を発します。
    3. 味覚を感じる器官(味蕾)にヤニまみれの舌苔が覆い、味覚を鈍麻させてしまいます。
    4. 味が感じにくくなると、自然と味つけの濃いものに食事が偏り、これが高血圧等の生活習慣病の原因にもなりえます。
    5. 口腔ガンのリスクを高めます。

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    2011年08月16日 火曜日

    咬合性外傷

    咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)とは、過度な噛み合わせの力によって、歯周 組織に損傷が起きることをいいます。
    1.  一次性咬合性外傷
    歯周組織が健全な歯に、歯ぎしり(ブラキシズム)、くいしばりなどによる強い力が加わって起こる外傷のことです。
    過度の力が加わることにより、咬合痛が出てきたり、 周囲の歯槽骨が溶かされたり、歯の咬耗、くさび状欠損が出来ます。
    まず、歯の動揺、歯根膜腔の拡大、白線(歯槽硬線)の消失などが起こり、進行すると、垂直性の骨吸収、歯根の吸収(セメント質の吸収)、歯の咬耗・歯の痛み(歯髄炎様疼痛)などが起きます。

    2.  二次性咬合性外傷
    歯周病にかかって歯の支えが弱くなった歯に「正常な噛む力」が加わって起こる外傷のことです。
    二次性咬合性外傷が起こると、歯周病を悪化させ、進行が早まってし まいます。 
    分かり易く言うと、
    炎症(歯周病)+力(咬合性外傷)=歯周組織の破壊(歯周病悪化)
    になります。

    【咬合性外傷の対策】
    1. 噛み合わせの調整(咬合調整)
    2. 歯並びが悪い場合は矯正治療
    3. 歯周病の治療
    4. 連結冠による治療

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