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2016年10月17日 月曜日
マイクロスコープを使った歯周病治療
マイクロスコープ(手術用顕微鏡)は、精密な治療ができるということで、
近年注目を集めています。
歯科では、根管治療の分野で先行して用いられてきましたが、
歯周病治療の分野でも注目されています。
歯周病治療への応用
1. 顕微鏡を用いると、低侵襲で効果的な治療を受けることができ、
歯周病基本治療を顕微鏡を使って行うと歯周外科に匹敵するほどの効果が出るとも言われます。
2. 歯肉縁下歯石は、的確に見えるので歯周組織にダメージを与えないように
除去できます。
3. 充填物や冠の辺縁に溜まっている隙間の奥のプラークまで発見でき、
除去やブラッシング指導に有効活用できます。
4..咬合が過度にかかるような早期接触歯、咬合性外傷歯を発見でき、
咬合調整をポイントで行うことが出来ます。
顕微鏡で動揺や最初に当たる位置を把握できるのです。
歯周病の診断への応用
1. 歯周ポケットの診断
歯周ポケットは、歯のどの位置で深いかを知ることで歯周病の病態を正確に捉えることが出来ます。
特に奥歯の根分岐部ではその部に病変があると予後に影響が大きくなります。
正確な診断に基づいた的確な治療が求められます。
2. 歯肉の判定
歯肉の色、つや、引き締まり方、付着歯肉の幅も歯周病の予後を左右します。 -
2016年10月10日 月曜日
歯の間の歯肉が痩せ隙間が出てきた
歯の間の歯肉(歯間乳頭部)が痩せてできる隙間のことを
「ブラックトライアングル」と言います。
前歯の良く見える部位に隙間ができて目立ってくると深刻な悩みとなります。
原因
1. 歯周病
歯の周りの歯槽骨が溶けるとそれに伴って歯肉の量も減少して
隙間ができてきます。
2. 不適切な清掃
歯間ブラシやフロスを間の歯肉に押し当てたり、無理に挿入すると
その力により歯肉が下がってきます。
3. 食片圧入
歯の間に食物を詰まらせているとだんだん歯肉を押し下げる力となり、
丁寧に詰まった食物残さを除去しても元に戻らなくなってきます。
4. 無理な矯正歯科治療
重症な出っ歯や受け口で歯槽骨中心から外れて見かけだけで無理して移動すると
歯槽骨に覆われていない状態となり、ブラックトライアングルとなる場合があります。
また、歯周病の治療を十分受けずに歯の移動をする場合も起こります。
誘因としては、もともと歯肉や骨の量が少ない方に発生しやすいです。
5. 歯の間が虫歯になっている。
予防
1. 歯周病治療をする。
2. 歯科衛生士から正しいブラッシングの指導を受ける。
3. 矯正治療をする場合には、適応症と治療のゴール、
管理についてよく相談をしてからにする。
治療方法
程度が強い場合には、治療が困難な場合が多いです。
1. オールセラミッククラウンにより修復する。
軽度ならラミネートべニアクラウン、中程度ならオールセラミッククラウンにより
隙間をある程度補うことが出来ます。
2. ダイレクトボンディング
隙間をプラスチックで埋める方法です。歯をほとんど削らずに済みますが、
埋める量に限度があり、、強度が弱く変色してきます。
3. ヒアルロン酸の注入
間の歯肉にヒアルロン酸を注入して歯肉量を増やしますが、
吸収されてくるので長期間は持ちません。
4. 歯肉移植
一部分であれば効果が出る場合があります。しかし、
間の歯肉を盛り上げても吸収されて元に戻る場合が多いです。 -
2016年10月03日 月曜日
歯周病の局所のリスク因子は?
歯周病の初発因子は、プラーク中の歯周病原菌です。
では、どのようなメカニズムが働き病状が悪化していくのでしょうか。
そこには、リスク因子というものが働いています。
局所のリスク因子にはどのようなものがあるのでしょうか
1. 外傷性咬合
外傷性咬合とは、「無理な咬み合わせの力」が加わるということです。
咬み合わさるときに一か所だけ高かったとします。
すとる全体の歯で咬む力を受けるはずが、そこだけに力が集中します。
早期接触と言います。
摩耗により咬み合わせが狂う、歯周病の炎症で咬み合わせが乱れるなどの場合に生じます。
軽い炎症+過剰な力=炎症悪化と歯の周りの歯槽骨吸収という悪い循環が生まれます。
2. 歯並び
歯並びが悪いとプラークがたまり易くなります。
3. 不適合冠
何が不適合化というと、
1) 豊隆度が過剰でプラークがたまり易い
2) 冠の周りから虫歯になりそのが不潔となる
3) 冠の辺縁の位置が深すぎて周囲からの炎症を生体が防げない
4) 摩耗が進む、咬み合わせが悪くなるなどで咬むときに負担がかかる
4. 歯石
それ自体が悪さすると言うよりは、歯石のザラザラな面に
プラークがたまり易い。
歯石の中ら歯周病菌の毒素を含んでしまうということが
リスク因子として働きます。
5. 不良習癖
口呼吸は、口腔内の乾燥を招き、歯周病菌にとって有利な環境を作ってしまいます。
偏ったか見方があるとやはり負担がかかるため、歯周病を悪化します。 -
2016年09月26日 月曜日
歯周ポケット深さの意味
歯周炎になると歯周ポケットが深くなり病状が悪化するのでしょうか。
実は、ポケットの深さだけではなく、ほかの要素も調べる必要があります。
歯周ポケットの深さ
ポケットの測定開始位置が、エナメル象牙境からであれば
ある程度安定したデータが得られます。
しかし、歯肉が退縮してきた場合、それより根尖の位置から測定する場合もあります。
その場合すでに周囲の歯槽骨が吸収してきているのでポケットの数値が少なくても安心できません。
従って歯周組織の量、ポケットの深さ、出血の有無、動揺度、歯間離開度などの
様々なデータをもとに診断する必要があります。
歯周炎の進行の観点から
ポケットが深ければその中にプラークがたまり易くなります。
次第に歯周炎は進行していくことが考えられます。
治療方針は歯周ポケットをいかに浅くしていくかになります。
歯周炎の進行には咬合性外傷という「力」の要素も深くかかわっています。
また、ある種の全身疾病があると歯周炎のリスク因子ともなります。
糖尿病、骨粗鬆症、ストレス等は深くかかわっています。 -
2016年09月19日 月曜日
歯磨き上手
ブラッシングは、虫歯予防や歯周病予防にとって大切です。
毎日やっているのになぜか取り残しがあり、歯の間がすっきりしないこともあります。
そこで、歯磨き上手になる方法をお話しします。
歯磨きの目的
1. 歯周病や虫歯の原因となるプラーク(歯垢)を取り除く。
2. 歯の間に詰まった食べかすを取る。
3. 口臭を防止する。
4. 歯に付着した着色汚れを取り除き、本来の白さを保つ。
歯の磨き方の基本
歯並び、歯の形態、欠損の状況、歯肉の状態などは、
その人により違いがあり、お口の中の環境も経年的に変化があります。
そこで、
1. お口の観察をよく行うことが大切です。
手鏡や洗面台の鏡で歯の一本一本の生え方、歯肉の位置、歯のふぃだの隙間の状態を
よく観察して、どこに汚れが残っているか調べます。歯の間は良く見えないこともあるので
実際のブラシを当てた時についてくる汚れを観察します。
2. ブラシを当ててみます。
その際、歯磨き粉はつけません。アワアワになり
どこにブラシの毛が当たっているかわからなくなるからです。
歯面に正確に当たっていることが大切です。
3. ブラシを細かく動かしてみます。
慌てて動かすのではなく、細かく、ゆっくり動かして歯のカーブに沿って当たっているかを確かめます。
4. ブラシの毛先が動いてプラークが取り除かれます。
ブラシを歯面に当てる強さが強すぎると、毛先が広がり歯面から離れてしまい上手く磨けません。
毛先がシャカシャカと歯面に当たってプラークが落ちる感覚をつかみましょう。
ワンポイントアドバイス
動かす方向、振幅幅、強さ等は、その部位に応じて変えます。
ブラシが当たらない、あるいは届きにくい部分は、補助清掃具を用います。
デンタルフロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどを使って補います。
毛の硬さは、硬い方が清掃効率が良いのですが、歯肉が弱っている場合には、
柔らかい毛のブラシから始めます。
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