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2012年11月19日 月曜日
歯周組織再生療法に影響する因子
フラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)などの歯周外科手術の際、エムドゲインなどの歯周組織再生療法を受けた場合、どの程度回復するかは、気になるところです。歯周組織の病的なところを徹底的に取り除き、その部が炎症がない健康な組織に置き換わる事を目指します。
治癒に影響を与える因子
1. 病的な組織がしっかり取り除かれている。
根分岐部、骨縁下底部、根の窪み部など不良肉芽である病的組織が残りやすい部分です。基本的なことですが、切開、歯肉弁形成、デブライドメント、薬剤塗布、縫合の各ステップでそれぞれ正確な手技がなされることです。汚い所には、健康な組織ができてこないのです。
2. 術前・術後の管理が適切に行われている。
術前には、プラークコントロールが十分に行われ、取り除くことが可能な炎症をなくすことです。歯肉から出血していたらだめです。術後も同じことです。
3. 歯周組織のダメージの進行程度
残存している骨の量が少なくなれば難易度が上がります。残っている骨壁のパターンによって治癒する量が決まってきます。すべての方向に骨壁が残っているのが一番期待の高いパターンです。
4. 咬合の安定
咬み合わせが安定せず、無理な力が加わると、組織ができてこなくなります。暫間固定などをします。
5. 年齢、全身的な要素
高齢になれば、再生に対して不利になると考えられています。持病があれば、よくコントロールされている状態にします。 -
2012年11月12日 月曜日
歯周病で噛み合わせの調整
歯周病になると歯根の周りの歯槽骨が溶けて、進行すると動揺してきます。また、歯槽骨と歯根のセメント質を結合する歯根膜線維が炎症により破壊されてしまいます。
すると歯は、糸の切れた凧のように簡単に移動して、歯並びも乱れてしまいます。時には噛み合わせが強く当たり過ぎたり、逆に当たらない位置まで飛び出してしまうこともあります。このような場合には、噛み合わせを調整して、暫間固定、部分的な矯正治療などが必要な場合があります。
噛み合わせ調整のやり方
1. 一か所だけ当たる部分(早期接触部位)を、正常に当たるように調整します。
2. 高さをチェックして、左右や前後にアゴを動かしてスムーズに当たるようになるまで調整します。
3. 今度は歯列全体を調整します。高さ、左右前後の調整をします。
どんな時に噛み合わせの治療が必要か?
1. 歯周病の急性発作を起こした時。
急に歯茎が腫れたり、歯が動くようになるのは、歯周病が急性発作を起こしていることが考えられます。
2. 咬合性外傷の場合。
歯周病が進んだ場合、普通に噛む力でも歯周組織が耐えられなくなります。そのような場合は、噛み合わせを緩くします。
3. 歯周病が進行してきた時。
歯周病が特に中程度以上進んだ場合、噛み合わせが乱れているかをチェックする必要があります。歯槽骨が垂直性吸収したり、部位特異性吸収している時は、無理な力が加わっている可能性があります。 -
2012年11月05日 月曜日
歯周病進行程度をみる検査とは
歯周病の検査では、歯周組織がどの程度破壊されているかを知り、その原因を調べ、治療計画を立てていきます。
歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質を調べますが、肉眼的に直視できない歯周ポケットはプロービングで、歯槽骨や歯根膜はX線や動揺度検査で調べます。
1. 歯肉の検査
色の変化、形態や硬さの変化、歯肉辺縁の位置、ステップリングの消失、出血BOP、排膿などを調べます。
2. 歯周ポケット検査(プロービング)
ポケットの深さ(プロービングデプス)、アタッチメントレベルの検査、歯肉溝浸出液の検査などがあります。
歯周ポケットは歯周組織の破壊を示し、局所修飾因子としても重要です。ポケットの深さ、ポケット底部の位置(アタッチメントレベル)、根面の形態、歯肉縁下のプラークや歯石などを調べます。
3. 歯槽骨・歯根膜の検査
歯槽骨の吸収程度、歯槽骨吸収のタイプ、歯根膜腔の拡大と狭小など。
4. 根分岐部病変の検査
歯周組織の破壊が多根歯の分岐部に及び、真性ポケットが形成されているかを検査します。
5. 歯の動揺度検査
歯をさえている歯周組織の量と質が減少すると動揺してきます。 -
2012年10月29日 月曜日
抜歯しか方法はないの?
■ 質問
歯周病が進んでいて「抜歯しかない。」と言われました。今までに、何度か歯ぐきが腫れました。下の奥歯の根分岐部に病巣があるようです。
■ 答え
歯周病が原因で何度も歯肉の腫れを繰り返している場合、歯を支えている歯槽骨が溶かされて、そこに病巣を作っている場合がります。
「根分岐部病巣」と言います。奥歯で複数の歯根がある場合、その根の間に病巣を作ることがあります。歯ブラシが届かず、歯科医院のスケーラーという器具でもうまく清掃できない場合が多いので、一般に難治性で予後が悪いと言われています。
歯槽骨の残存度合などの程度により治療方法が変わります。
1. 歯根の間の骨が貫通していない場合
エムドゲインやGTR法による歯周再生治療、骨移植、ファーケーションプラスティー(歯冠~歯肉の移行形態を修正して清掃しやすいようにする)など。歯周外科によるフラップオペレーション(歯肉剥離掻爬術)が必要となります。歯肉を開いて歯石を取り、病巣を除去してきれいにします。
2. 歯根の間の骨が向こう側まで貫通している場合
歯根分割をして歯を2つにわけ、根分岐部にできた病巣をなくします。分割した歯根は間を広げてからつないでかぶせます。
トンネリング法といって歯の間をわざと広げて歯間ブラシが通りやすく清掃しやすい形態にします。
3. さらに歯槽骨が溶かされ、歯が上下に動く場合
歯が上下に動く場合は、歯根の先端まで骨が溶けて支えることができなくなった状態です。残念ながら抜歯です。 -
2012年10月22日 月曜日
歯周外科で行うフラップ手術とは?
フラップ手術Flap operationとは、歯肉剥離掻爬術のことで歯周外科の一つす。
中等度から重度の歯周病に対して外科的にする治療法です。
目的
歯周ポケットをなくし、日常のブラッシングで清掃しやすい環境を作るために行います。
1. 歯周ポケットを除去したり浅くする。
2. 歯周ポケットを形成していた歯肉を、ポケット内に露出していた歯根に再び付着させる。(新付着)
3. 歯槽骨を再生させる。(垂直性骨吸収部の再生など)
4. 歯槽骨の形態修整をする。(骨整形)
5. 歯根膜、セメント質を再生させる。(新付着の獲得)
6. 歯の周囲の硬い歯肉の獲得をする。(付着歯肉の幅の増大)
方法
診査診断により、基本治療を行っても症状が改善されない場合にフラップ手術をします。
1. 麻酔をします。
2. 歯肉を開きます。骨膜まで開く部分と歯肉部のみの部分に分かれます。
3. 露出させた歯根面の清掃(スケーリング・ルートプレーニング)をします。今まで歯肉に隠れていた汚染部分を目視してきれいにします。
4. 不良な病的な歯肉(不良肉芽)を取り除きます。
5. 必要に応じて骨整形をします。
6. 歯肉の形を整えて縫合します。
7. 必要に応じて歯肉パック(包帯に相当するもの)をします。
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